第8章 白兵戦
カラが俺より強いのは知ってる。
しかし、その動きが鈍い。
いや、鈍くはないのだが、、、なんというか、、、地味だ。
船の上で見せたあの軽やかな攻めの姿勢が見込めない。
ひたすらに受けるだけ。
それでも強いのだが、、、
…どうにも変だ。
雑魚ばかりで周りを見る余裕は多少はある。
コイツら片づけたらさっさとあのデケェの潰してこの島を出たい。
雑魚共よりはあのデカいのは強いんだろうが、カラもいるんだ。
負けることはまずない。
キィン!
斬撃の音が少し近くに聞こえた。
そちらを見ると、壁際にずっといたカラが前に出たらしい。
少しはさっきより動く様になったが、その場に立つ様に戦っている。
重心がまるで動いてない。
と、カラの背後に男が迫った。
カラはハッとした様に慌てて体の向きを変える。
嗚呼、そういうことか。
「Room」
カラを包むほどの大きさにサークルを展開する。
カラはサッと出ようとしたが、それよりも早く足元の石と自身を入れ替える。
「シャンブルス!」
『わっ!』
俺が目の前に現れて驚くカラ。
俺は構わずに脱ぎ捨てたジャケットを差し出す。
「着てろ。」
『え?』
「背中、気になるんだろう?」
そういうと、カラがヒュッと息を呑んだのがわかる。
やはりか。
カラはそのジャケットを受け取ると、礼を言って袖を通した。
それからのカラの動きは凄まじく。
ドレスの裾を靡かせながら大量の敵を地に沈めていった。