第8章 白兵戦
私もローも、無心で相手を床に沈めていく。
数だけは本当に多くてしつこい。
銃もひたすら乱射するだけ。
数打てば当たる訳でもないのに。
それでもひとつ、納得がいかないのはあの頭の表情。
なんであんなに余裕そうなんだろう。
壁に背を向けたまま、向かってくる敵をひたすら斬る。
…ローの方がやっぱり数が多い。
後々あのデカい奴と戦わないといけないんだから、ローの体力も温存しておくに越したことはない。
私は意を決して壁際を離れ、背中の髪があまり靡かない様に戦う。
ショートドレスだからか、動きやすい。
ブゥン
あ、近づきすぎた?
ローのサークルに入ってしまった。
邪魔になるかもしれないと思って、外に足を踏み出す、が。
「シャンブルス」
『わっ!ロー!!』
瞬間移動って便利だけど、急に目の前に来られたら心臓に悪いな。
「…これ、着てろ。」
『え?』
「…背中、気になるんだろう、」
『っ、』
そんなことのためにわざわざ、、、
ローは自分が着ていたジャケットを私に手渡してきた。
私はこの乱戦の最中、そんなところまで気に掛けていてくれたのに驚いて、嬉しくて、、思わずそのジャケットをきゅっと握った。
『っ、ありがとう!』
「…あぁ。」
ローはまたあっという間に消えて、敵の中に飛び込んでいった。
私もローのジャケットを羽織ると、憂いがなくなって更に勢いを増して敵を薙ぎ払った。
「うぉ!!なんだあの女!!!」
「トラファルガーの飼ってる女じゃねぇのか!?」
「…ただの女じゃねぇぞ!」
『…誰が誰を飼ってるですって?』
容赦なくソイツの腹に斬撃を入れる。
『ローはお前たちのような下衆と違って、そんなことしないわ。
もう一度言ったら、その口、2度と聞けなくなるわよ。』