第8章 白兵戦
「ックソ!!キリがねぇ!!」
船の上には既に十数人の敵。
俺とペンギンがソイツらの相手をして、ベポは陸でこちらにやってくる敵を止めてくれている。
「なぁ!シャチ!!いくらなんでも多過ぎやしねぇか!?」
「あぁ!っ、だが、んなこと言ったって!仕方ねぇだろ!!」
多少の傷を負いながらも、まだ何も盗まれてはいない。
というより、コイツらここから先に行く気がない様にも見える。
勘違いかもしれないが、どうも俺たちがコイツらを止めているはずが逆に俺たちが止められている様な、そんな変な感覚を覚える。
「ダァー!気持ち悪りぃ!!
来るならさっさと来い!!!」
俺は思わずそう口をついて声を出した。
ペンギンが驚いて口をあんぐりと開けている。
と、
「うわぁ!!」
「!?ベポ!!」
声のした方を見ると、ベポが地に伏せられていて、何かを注射されるところだった。
「っ!ベポ!!ベポ!!!」
ベポの方へ行こうとするも、目の前の敵達に阻まれて進めない。
…やられた。
完全にこっちが足止めを食らってる。
「ベポ!!!」
何かを打たれたベポは、ぐったりと体から力が抜け、数人の男たちに担がれていった。
クソ、追いかけられない。
最初から狙いはベポだった。
アイツらは、キャプテンがいないうちにベポを連れ去るつもりだったんだ!!
「クソ!!!」
俺もペンギンも目の前の大量の敵で手一杯。
船の中に入れないことしかできない。
キャプテン、、、
そう胸の内で呼ぶものの、いつも助けてくれる彼はここにはいない。
仲間1人助けられない。
ここまで自分の無力さを呪ったことはなかった。