第8章 白兵戦
「うわぁ!カラとっても綺麗!!」
『ふふ、ベポ。ありがとう。
変じゃない?』
「全然!
似合ってる!!」
「「…」」
ー
ーー
ーーー
今日も美味い朝飯食って、キャプテンから留守番を言い渡された。
…俺もVIPルームで賭けてみたかったけど仕方ない。
2人が用意するって言うから3人でリビングで寛いでた。
ガチャ
扉の開く音がすると、キャプテンがエスコートするようにドアを開けているのが見える。
その後ろから長い髪を靡かせながら歩くのは、ヒールでいつもよりいくらか目線の高くなったカラ。
胸元が空いた膝上丈の漆黒のドレスを纏い、上品に歩く。
腰からの透け感のある布がくるぶしほどまでを覆い、歩くたびにひらひらと軽く動いて、より洗練されたカラの所作の美しさを際立たせる。
…暑かろうが寒かろうが、いつも長袖長ズボンを履いて肌をほとんど見せないカラ。
服の上からでもスタイルがいいのは想像がついていたけど、実際に目にするのとは訳が違う。
黒いドレスと漆黒の髪には白い肌はよく映える。
しかもキャプテンも並んで、誰も文句が言えないほどの美男美女のペアだ。
俺もペンギンも2人に見惚れてて、開いた口が塞がらない。
そして冒頭のベポの言葉に戻る。
「オイ。」
「は、はい!!」
急に話しかけられて声が裏返る。
目の前には眉間に皺を寄せたキャプテン。
…やばい、何か言ってたのかな、、、
「いいかお前ら。
今日の船番はいつもとは訳が違う。
真面目にしてろよ。」
「アイアイ!!」
「…積み荷が手に入り次第出港だ。
いつになるかはわからねぇが、、、おそらくその時は急に来る。
いつでも出せるようにしておけ。」
それだけ言うと、ベポとカラの元に行くキャプテン。
…騒ぎになるようなことをするのか?
「…行ってくる。」
『行ってきます。』
2人は対象的な表情を浮かべて船を降りていった。