第8章 白兵戦
ローは無言で私の手を取り針を刺す。
中の液体を入れ終えると、私は口を開いた。
『…そういえば、今日初めて見たけど、、タトゥー、たくさん入れてるのね。』
今までは指のDeathの文字と手の甲の簡易化されたジョリーロジャー、それと腕の歯車のような模様しか見えていなかった。
今朝は前をはだけてたから胸元の大きなタトゥーが見えたのだ。
やっぱりハートの海賊団と言うだけあって、そこには大きなハートとそれに囲まれるようなジョリーロジャーがあった。
ローの色気と相まって凄く似合っていた。
「あぁ。背中にも入ってる。」
『へぇ…やっぱり入れる時って痛いの?』
「いや、、、まぁ多少は痛むがそれほどでもない。
場所にもよるしな。」
『指なんて痛そう。』
「俺は指よりも手の甲の方が痛みは強かったな。」
『そうなの、、、私も入れてみたいな…』
一生消えない誇り、見たいなものでしょう?
そういうのってかっこいいから憧れる。
「いいんじゃねぇか?
入れるなら俺が入れてやる。」
『ローそんなこともできるの?』
「まぁな。
だが拍鉛の治療が終わるまではダメだ。皮膚に負担がかかる。」
『分かった。』
どんな模様入れようかな、やっぱり刀のマークは欲しいし、、、
小夜と、おじさまの夜と、、、あとは、
ローの鬼哭も、入れたいな…
『っ!』
「?どうした。」
『な、何もない!!』
なんだかそれってずっとローといるのが当たり前だって前提だった。
治療が終わればおじさまの元に帰るのに、鬼哭を刻みたいなんて、、、
「顔赤いぞ。」
『へっ!?あ、や、、、あ、あの!タトゥー入れる時の痛みって、拍鉛の時よりも痛いかな!?』
「?そこまでじゃない。
…世の中にどれほど墨入れてる奴がいると思ってる。
全員がそんな痛みに耐えられるかよ。」
『そ、そうよね!』
5分が経ち、ローが出て行って私も布団に入ったけど、その夜は何故かなかなか眠れなかった。