第8章 白兵戦
あの男からVIPルームの話を聞いた直後は、適当にそこでも稼いで帰るつもりだった。
だが、女同伴ーいや、カラを連れて来いと言う話を聞いた後ではその気が一気に失せた。
確かにカラはかなり見目の良い女ではあるが、わざわざ俺と共に呼び寄せるメリットがわからねぇ。
カラをそんなに売りたいなら、俺とは別行動をしている時の方がコトを進めやすいはずだ。
カラの強さは世間には知られていないからな。
稼いだ金だけでも航海の物資を買うには十分だろうと、その類を売る店に足を踏み入れる。
ガチャ
「…」
「いらっしゃい。
すまないね、お兄さん。
この店はこの島を牛耳る海賊共に潰されてしまった。」
そう言ってボロボロになったジジィは語る。
店は荒らされ、壊された商品の残骸が床に広がっている。
「…今までは上手くやっていたんだが、アイツら、今日になって急にウチの商品を全て船に積ませたんだ。
名を上げるために何か大事を起こすらしい。」
…やられた。
アイツらは俺がカジノにいる間にこの店を半壊させたのだろう。
どう転んでもすぐには俺たちがこの島を出られないように。
通常ならログが溜まるまでの1週間ここに滞在しなければならない。
しかし俺たちはエターナルポースを持っていたため、物資さえ有ればすぐにでもここを出られる。
アイツらはそれを知って、コトを起こした。
名を上げるため、と言うのは十中八九俺の首を取るつもりなんだろう。
…舐められたもんだ。
アイツらの船から物資を奪うのは面倒だ。
何しろ数だけは多い。
となると、この海賊団の頭を潰すしかない。
頭は恐らくあのカジノ。
つまりは明日、何がなんでもあそこへ出向かねばならないのだ。
「…オイ」
「なんだい?」
「女物のドレスが売ってる店はどこだ。」
「?それなら角の店にあるが、、、」
「そうか。」
俺はジジィに金を渡してその店へ足を運び、購入したものを持って船へ帰った。