第8章 白兵戦
どういうことだ。
「キャプテン?」
カジノにVIPルームが別にあることは誰もが知っている。
そこに入る条件は基本的に3つだ。
第一に金があること、
次にドレスコードを守れるほどの器量があること、
最後に、権力でも暴力でもいい、とにかく力があること、
高級レストランでもねぇ、それもこんな海賊だらけのカジノで女が同伴のルールは明らかにおかしい。
そこらの海賊を見ても、女のクルーがいる海賊団なんかひとつも見なかった。
…どういうことだ。
それ即ち、カラがピンポイントで絡んでいる。
女に用があるわけではない。
明らかにカラに何か目的がある。
「キャプテン!キャプテン!!」
「…なんだ。」
そろそろ少しうるさく感じてイラつきながら返事をすると、帰りましょうと言うシャチ。
…俺はカジノの出入り口でずっと止まっていたらしい。
「…あぁ。
…………少し寄り道して帰る。
お前らは先に帰ってろ。」
俺はそれだけ言って2人の返事を待たずに逆方向へ足を進めた。
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ーー
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…気持ち悪いな。
私は本を読み、視線には全く気がついていないフリをしながらその出所をチラリと見る。
大きな大きな建物の屋根、少しだけ張り出した飾りのようなところから感じる視線。
あの建物がこの島で大きな顔をしている奴らのアジトか。
「は〜!さっぱりした!!」
そう言いながら船内からベポがやってくる。
「…にしてもさ、カラ暑くないの?
長袖長ズボンだし、黒だし。」
そう言って不思議そうにベポは声をかける。
私は少し苦笑いをしながら答えた。
『あー…暑くないと言えば嘘になるけど、、、
やっぱり、肌を見せるのはちょっと、、、』
「僕たちしか居ないから大丈夫だよ。
キャプテンもみんな気にしないから。」
『…ううん。
でもいいの。こっちの方が安心できるから。』
ありがとう、と言って私はまた本へ目を落とした。