第8章 白兵戦
小汚い酒場ばかりだが、その中でも多少綺麗な酒場に入る。
ローが入ると男たちの視線は彼に集まる。
ニヤニヤと下衆な笑みを浮かべて気持ち悪い。
ローはそんな視線など感じていないように、私の肩を抱いてソファにドカリと座った。
その向かいにペンギンとシャチが座る。
『ロー、ちょ、、近いよ』
「うるせぇ、黙って座ってろ。」
『…』
ジトリと睨まれ、もう話すことはないと言うふうに店員を止めて酒を頼んだ。
酒とグラス、それと適当な食べ物が運ばれてくるとローはボトルのまま酒を煽った。
「…チッ」
口に合わなかったのか盛大な舌打ちをかますロー。
ペンギンとシャチは苦笑いだ。
「…オイ、ここのログはどれくらいで溜まる。」
「1週間だ。」
『…結構長いのね。』
「まぁ、何もない島だが海賊が好むような店は一通り揃ってるよ。
適当に遊んで過ごせばいい。」
初老のマスターはそれだけ言ってカウンターへと戻る。
1週間と聞いたローは眉間に皺を寄せていた。
「キャプテンどうします?」
「エターナルポース使って先に進みますか?」
「…」
確かに、いくつかのエターナルポースを持つ私たちには選択肢がある。
この島でログが貯まるのを待つ選択と違う島へ進む選択。
その決定権はもちろんこの船の船長であるローに委ねられる。
「…どちらにしても補給は必要だ。
明日補給をし、終わってからまた考える。」
『了解。』
「海賊の好む店はあるって言ってたからそれなりの物資は揃いそうですね。」
私たちは出された塩辛い食事をさっさと食べて席を立った。
「10万ベリーです。」
「は!?高!!」
「…バトル一本とつまみで何故そんな額になんだよ!」
『…』
なるほど。
店の前にあった海賊旗。
どこの誰のかは知らないが、そいつのお陰でやりたい放題ってわけか。
「…ほらよ。」
「ちょ、キャプテン!?」
「もう行くぞ。」
ローは明らかに提示された額の倍以上はある札束を放って足早に店を出た。