第7章 白波
今日はこれでやめておく旨ローに伝えて部屋に戻る。
自室に帰って小夜の手入れをしよう。
一通りの道具を並べて床に座る。
『…久々に外に出たね。
どう?気持ちよかった?』
小夜は呼応するように光を反射させる。
『…ごめんね。
貴方も、私じゃない他の剣士ならもっと溌剌と生きていけたかもしれないのに、、、
嫌になったらいつでもいい、私を斬り捨てて。
そして貴方が共に在りたいと思う人に携えて貰いなさい。』
そう声を掛けながら刀身を磨き上げていく。
言葉は発さずとも、きっと小夜は私の言葉を理解してくれていると思う。
『そう。
まだこんな私と一緒に居たいと思ってくれるのね。
ありがとう。嬉しいわ。
…大丈夫よ。
私が貴方を手放すことは絶対に無い。
貴方と私が離れる時は、貴方が私を捨てる時か私の命が尽きる時。
だからそんな心配はしないで。』
私は落ち着かせるように小夜を綿で優しく撫でる。
『ねぇ小夜。
もし私が剣士の道を違えたら、貴方が私を殺してね。』
私はそういうと、彼女の返事を待つことなく鞘に収めた。