第7章 白波
息が少し上がった2人を見下ろしながら私は木刀を仕舞う。
「ぜんっぜん勝てねぇ!
擦りもしねぇ!」
「俺たちもキャプテンみたいに強くなりたいんだ!
どうやったらいい?」
『そうね、、、』
2人の戦いぶりはベポ同様悪くはない。
ただ、
『2人に共通して言えるのは、引き際が大切ってことかしら。』
「引き際?」
『ええ。
私相手に初動で力勝負に持ち込んだのは良い攻撃だった。
…ただ、私に受け流されそうになっても体重をかけ続けてたでしょう?
確かにそのあと体制を立て直すのは早かったけど、おじさまならあの瞬間で勝負はついてたわ。
意地にならずに引くのも立派な戦術よ。』
「なるほど、、、」
『それと、、、私が向かっていった時、少し止まったでしょ。』
「うっ、、、だって!カラの顔がなんか獲物を狩るみたいな目してたから…」
「ギラついてたよな、、、」
『それくらいで止まっちゃだめよ。
私からしたら2人ともそんな顔よ?
…戦いの場では一瞬の迷いが命取り。何があっても止まってはいけないわ。』
「うう、わかった。」
「なぁ!他にも色々教えてくれよ!!」
『他は、、そうね…』
私はそれからしばらく2人の姿勢や動きの気になるところを修正した。
やっぱり2人とも戦い慣れしてるからか、飲み込みも早いし技術を得る気概が貪欲だ。
私も2人を見ながら自分の直すべきところも分かった。
互いに利のある時間だった。