第7章 白波
私はベポの前に立った。
『まず、ベポはある程度の速さはあるから初動はほぼ完璧。
その体格とは見合わない速さはみんな驚くはずよ。
ベポは先手を取るべきね。』
「本当!嬉しいな!」
意表を突いた攻撃はかなり有効だ。
特に大勢の相手がいる時はひとつの焦りは一気に広がる。
『ただ、、、まぁこれは仕方がないと言えばそうなんだけど、、
やっぱり目に頼りすぎなところがあるわ。
覇気ができればいいんだけど、最初からは難しいから、まずは相手を見失わないこと。
それから相手のいる場所を予想するところから始めましょう。』
私がそう言うとベポはウキウキと瞳を輝かせる。
「アイアイ!
どうやったらいい?」
『えっと、、じゃあ、さっきみたいに左手を前に出してみて?』
「こう?」
『そうそう。その瞬間、私の姿が見えなくなったでしょう?』
「うん。」
『それはただベポの視界から消えただけに過ぎない。
今のベポの視界に入らないのは背中側と頭の上に足の下、それから、、、左腕の下よ。』
「あ!」
私はさっきと同じ動きをゆっくりやってみせる。
ベポは体が大きい分、自分の体を利用された死角を作りやすい。
混戦になったら不利だ。
『敵が複数の場合は大変だけど、今みたいに一対一なら、実際に隠れられる死角は少ないものよ。
ローのように瞬間移動ができれば別の話だけどね。
だから、居ないとわかった瞬間に、敵がいると思われる場所を叩く。
当たらなくてもいいの。
それだけで相手は多少慌てるし、怯むわ。』
「なるほど…」
『まずは自分で体を動かしてみて自分の視界の限界を知ること。』
「うん!ボク頑張る!!」
『ええ。頑張って!』
ベポはトコトコと歩いて行って鏡を見ながら自分の動きを見て鍛錬しに行った。