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白を厭い、白に憧がる【ONE PIECE】

第7章 白波


コンコンコン


『私。』

「あぁ、入れ。」



ガチャ





「鷹の目への連絡は済んだのか。」

『えぇ。…私が飛び込んだことも連絡してたのね。』

「本題はそこだったからな。」

『ふふ、真面目なんだ。』

「一応医者だからな。」





とても医者には見えないような悪い笑みを浮かべながらそう言うロー。
私も思わず笑みを零す。

少しの沈黙の後、ローはぽつりと私に聞いた。







「…久々の会話はどうだった。」

『楽しかったわ。
私、自分が思っていた以上に寂しかったみたい。』

「そりゃ多少はそうだろう。
逆に長年共に過ごして寂しさの欠片も感じない奴の方がヤベェ。」

『確かに。』

「…大体、お前は歳の割に精神が大人びすぎだ。」

『そんなことないと思うけどな…
でも、そういうローだって、私くらいの歳の時も今と変わらなかったんじゃない?』







頭の中には医学書片手にコーヒーを啜るいつものローが浮かぶ。
…絶対16の頃から今みたいな生活してたと思う。…想像だけど。






「…俺はそれなりに遊んでた。」

『そうなの?』

「あぁ。
…酒も賭け事もやった。」

『麻雀とか?』

「あぁ。…!そうだ。」







そう言って席を立ったロー。
ゴソゴソと荷物を漁って見覚えのあるボードを取り出す。







「…買って全く使ってなかったからな。
どうだ?」

『いいわね。』







それは以前やろうと言ったチェス。
ローは黒の駒、私は白の駒を操り、キングに近づけていく。








「鷹の目とやったことがあると言ったな。」

『えぇ。…結局一度も勝てなかったんだけどね。』

「ほう。」

『いつも後一歩のところでどんでん返しを喰らうの。』






王手をかけたはずなのに、その次のおじさまの一手で何故か盤上がひっくり返る。
…それも予想もつかないところから。

と、ローが変なところにルークを置いた。
…そこは普通置かない。
全く意図がわからない。







『?ロー?』

「ックク、なんだ?」

『なにそれ。』

「なんだろうなぁ。」







楽しそうにこちらをみてニヤリと笑う。

…盤上のコマの配置から見ても明らかに誘われてる。
あのルークによって益々読めなくなった。

…さぁ、どうしたものか。
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