第7章 白波
ご飯を食べて、みんなと少し過ごしたあと私は部屋で電伝虫に番号を打ち込んでいく。
以前は毎日顔を合わせて話していたけれど、初めてこうやって離れて久し振りにおじさまと話す。
嬉しいのと緊張するのとでどきどきする。
【ぷるぷるぷる、ぷるぷるぷーガチャ】
気のない発信音を繰り返していた電伝虫の目が開き、おじさま似の鋭い瞳が私を見た。
『おじさま、私。』
【カラ…久しいな。】
『うん。』
おじさまの声を聞いた瞬間、色々なものが胸に込み上げてきて、視界が少しだけぼやけた。
…私は自分が思っていたより寂しかったらしい。
【初回の治療したそうだな。】
『うん。』
【…その後どうだ。変化はあるのか。】
『目に見えてわかるような変化はこれといってないわ。』
【…痛みは。】
『少しだけ。でも大丈夫。
城にいた時みたいに痛むわけじゃないし、横になる前はローが痛み止め打ってくれるから痛くないの。』
【そうか。】
おじさまは少しだけ息をついた。
【…無茶をしたと聞いた。
溺れた船員を助けたんだろう。】
『!…知ってたの?』
【あぁ。トラファルガーが連絡を寄越した。】
『…そうだったのね。』
【その様子では、やはり俺に言う気はなかったようだな。】
『だって、、、』
【お前は聡い。
自分の価値も度量も理解していることだろう。
だからこそ、俺に言わないことは分かっていた。
トラファルガーには感謝しなくてはな。】
確かに、私があんなことをしたらおじさまがどれほど心配するかは分かっていた。
分かってたから言う気は無かった。
『っ、でもね、おじさま【わかっている。】
え?』
【お前が俺に言わんとすることも、お前が見捨てることなどできない人間だと言うことも、わかっている。
…だから、ひとつ約束しろ。】
おじさまは私の目をさらに力強く見た。
【どれだけ先になってもいい。
必ず、俺の元へ帰ってこい。】
『っ、はい。』