第7章 白波
『っ!ゴホッゴホッ…痛っ、、、』
「…大丈夫か。」
『っ、平気。』
針が肺に刺さったような痛みが走る。
この痛みは最近ちょくちょく現れるようになった。
ロー曰く、組織修復の弊害らしいから仕方のないことだそう。
鋭い痛みは心臓の拍動に合わせて何度か繰り返される。
思わず左胸に手を当てて、意味もないのに皮膚を掴んで爪を立ててしまう。
こんな時、いつもローは体を丸める私の背中手を当ててくれる。
大きな手が私を安心させてくれて、この痛みに耐える力をくれる。
『っはぁ、、、ごめんね、ロー。ありがとう。』
「…いや、、、そうだ。
お前が寝ている間鷹の目から連絡があった。
話せるようになったら一度連絡を入れろと言伝を預かっている。」
『あら、そうだったの。
連絡してくれたのね、ありがとう。
話す分にはもう問題ないし、今夜にでも電伝虫をかけるわ。』
「あぁ。そうしてやれ。」
私は少し休むと言って船室で本を読みに行った。
キッチンに寄ってココアを淹れるとそのまま自室に運ぶ。
甘いココアに酔いしれながら、ドラム王国でローが調達してくれた本に目を通す。
『…』
知識とは財産だ。
四皇や海軍大将、天竜人のような圧倒的な力を持たない私たちだからこそ、知恵を使って自分を、自分の大切なものを守らなければならない。
私はロー達を守りたい。
私はその一心で、紙の上の文字を頭の中に叩き込んでいった。