第7章 白波
俺はひとしきりカラの部屋で泣いた後、その部屋を出た。
そこには壁に背を預けたキャプテンともうすでに泣いているベポがいて、俺は慌てて帽子を深く被り直した。
「カラ、目が覚めて本当によかった。」
「あぁ。」
それだけ言うと足早に自分の部屋に戻った。
視界の隅では、ベポがカラの部屋に入っていくのが見えた。
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「カラ」
『…』
まだ話せないと聞いていたけど、その唇は僕の名前を呼んでいた。
すでに涙でぐしゃぐしゃな顔を向けると、クスリと笑って僕の頬に触れる。
「ごめんね、僕が、、僕がもっと早く予報できなかったから…
カラもペンギンも怖い思いして、、カラはオペの後だったのに…本当にごめん。」
『…』
カラはパクパクと口を動かしていたが、途中から僕の手を片手で引っ張って、そこに文字を書いた。
『だ、、、い、じ、、ょ、う、ぶ、、、き、、に、、し、な、、い、で、、』
『べ、、ぽ、、、の、せ、、い、じ、、ゃ、、な、、い、』
『あ、、れ、、は、、し、か、、た、、な、、か、、っ、た、、』
「そんな!違うよ。僕が、、、僕の知識が足らなかったから…」
『べ、ぽ、、、が、、、い、つ、も、、が、、、ん、ば、、、っ、て、る、の、は、、み、、ん、な、、し、っ、て、る』
『じ、、ぶ、、、ん、を、、せ、、め、、な、、い、で、、』
「カラ、、でも、」
『だ、、、れ、、も、、べ、、ぽ、、、を、、せ、、め、、た、、り、し、な、、い』
『だ、、、い、じ、、ょ、、ぶ、、、だ、、、れ、、で、、も、、し、っ、ぱ、、、い、く、ら、、い、す、、る』
『だ、、、か、、ら、な、、か、ま、、が、、、い、る、の』
僕がその言葉にハッとして顔を上げると、やっぱり優しい顔で微笑んでいるカラ。
弱々しくも、強い笑みを讃えるカラがそこにはいた。
『さ、、さ、、え、、あ、、っ、て、こ、そ、の、な、、か、、ま、、よ』
「っ、カラ、ありがとう、ごめんね、、ありがとう」
そう言うとカラは僕の手をキュッと握ってくれた。