第7章 白波
ガチャ
「…カラ、、、」
今まで、現実を見るのが怖くて怖くて一度も立ち寄れなかったこの部屋。
俺のせいなのに、一度も見舞わなかった最低な俺。
怖いと言う思いだけで避け続けた。最低だ。
目の前にいる1週間ぶりに見たカラはすっかり痩せていて、以前よりもさらに小さく見える。
まだ少ししか開いていない目が合うと、微かに目尻を下げて笑った。
俺はベッドの隣にあった椅子に腰掛けた。
「カラ、ごめんな。
俺が落ちたから、こんな、、、」
枯れたと思っていた涙がまた溢れてくる。
カラが目覚めたのに安心して、嬉しくて、、でもやっぱり申し訳なくて、変わり果てた姿を見ると胸が千切れそうで、泣くことしかできない自分が情けなくて、
俺は帽子を深く被って謝罪の言葉を繰り返す。
「ごめん、、ごめん、本当にごめ、んな、、」
『っ、』
酸素マスクの下でカラの唇が動く。
でも俺には何で言っているのかわからなくて、俺はまた謝り続ける。
すると、俺の手に冷たい手が触れた。
カラの手だった。
まだ一段と細くなった指が俺の手の甲に触れる。
?この動きは、、文字?
『ぺ、ん、ぎ、、、ん、の、せ、、い、じ、ゃ、、な、、い』
『あ、、や、、ま、、ら、な、、い、で』
俺がそれを理解して顔を上げると、目尻に涙を浮かべて微笑むカラの優しい顔が見えた。
そして、次に書かれた文章を理解して、また俺の目からは涙が溢れた。
『ぶ、、、じ、、で、、よ、、か、っ、た』