第7章 白波
その2日後、、体温を下げてから3日目。
カラの破れた肺が仮止めのような状態だが、全ての隙間が埋まった。
これから徐々に体温を上げていく。
新しい組織だが、初めから少しずつ負荷をかけていくことでより細胞の一つ一つが頑丈になる。
現在の回復は遅くなるが、将来的にはこちらの方が機能が上がる。
俺は呼吸器の設定や点滴の調節を終えるといつものように横の椅子に腰掛け、本を読む。
コンコンコン
「…キャプテン…」
「…入れ。」
シャチだ。
アイツ、まともな力加減でノックなんかできたのか。
部屋に入ってきたシャチの手には、以前眠らない俺にカラが買ってきたハーブティー。
俺に持ってきてくれたようだ。
「キャプテン、最近ほとんど寝てないでしょ。
今日は俺が見てるからちゃんとベッドで寝てください。」
シャチはそう言ってハーブティーを俺に手渡す。
俺はそれを黙って受け取り、口へ運んだ。
「…濃ゆい。」
「…すんません…」
日頃慣れないことをするからだ。
…いや、いつも馬鹿やってるシャチに気を利かされる俺も同等か。
「…モニターに少しでも変化があれば起こせ。」
「アイアイ。」
俺はシャチの淹れた下手くそなハーブティーを飲み干して部屋から出た。