第2章 白い光
『え…』
─暫くその男の船に乗り、病を治せ。
…治る?
これが?
治療法なんて、探そうともされていないのに?
私は目の前の男を見上げた
「お前、名は。」
『カラ、、、パトラ・D・カラ…』
男は目を見開き、驚いたような、そんな顔をした
『…治、せる、の?』
私は男の驚きなんて、目に入らなかったように、そう、呟いた
「あぁ、治せる。」
男は、私の目をしっかりと見て、そう、答えた
視界が滲むのを感じた
初対面の男の前で2度も涙を見せるなんて、、、
そんなことを頭の隅で考えながら、私は俯き、涙を隠した
「落ち着いたらリビングへ来い。」
男はそれだけ言って、白熊を連れて部屋を出て行った
『ふっ………っ、……くっ!』
何度、絶望しただろう
何度、アザを斬りつけただろう
何度、諦めかけただろう
罵声を浴びせられるたびに、世界中が敵に見えた
生きていてはいけないと、みんなから言われている気がした
病も、この身に流れる血も、、、
誰も望んではいなかった
自由に生きることなど、許されないと思っていた
いつも海に憧れていた
自由で、広い海
海に夢を見た
色んな島を見て回って、色んな人種と出会って、文化に触れて、
世界中を見て回りたかった
その夢が、今、夢じゃなくなる
探しに行ける
私は溢れる感情を涙に変えて、胸に抱いた麻袋を強く掻き抱いた