第7章 白波
…まだ軽めの運動すら許可してなかった。
泳ぐなんて、肺に最も負荷のかかる運動、させられる状態じゃ無かった。
案の定、左側の肺は圧力に耐えきれなくて一部が破裂している。
きっと、海中で破裂したんだ。
急に息が漏れ出た筈だ。
込み上げてくる空気を止められなかった筈だ。
クソっ、なぜこんなことに、、、
俺が、ペンギンが落ちたのに早く気がついていたら、
俺が、覇気を使えていたら。
俺が、海の中でも多少は能力を使えたら。
俺がもっと、周りを見れていたら、、、
「クッソ…」
俺は能力でカラの肺を止血して、破れた部分をできる限り修復した。
…これは完全に左の肺の機能を止めなければならない。
人工呼吸器を手に取った。
カラの口元の血を拭い、能力と医学の知識を総動員して、右の肺だけで事足りるよう、呼吸器をつけた。
せっかくババァの元で使わずに済んだコレを使うことになるとは…
リハビリも長く続くことになる。
もちろん回復も遅くなる。
完全に元に戻るとも限らない。
多少、心肺機能が低下する恐れもある。
俺は後悔の念に押しつぶされそうになりながらもカラの処置を終え、ペンギンの元へ向かった。