第7章 白波
ぼちゃん!
潜ったはいいけど、思った以上に波が激しい。
ペンギンの気配はわかるのに、その方向に進めない…
あぁ、ダメ。
ペンギンの気配が小さくなっていく。
息がもたないんだ。
怖いよね、
苦しいよね、
寂しいよね、
わかるよ。
昔、私もおじさまの船から落ちたとき、そうだった。
嗚呼、でも、助ける方も、怖いな。
おじさまも、こんな風に覇気を使って探しただろう。
気配が弱ってく。
終わりが近づいているのが肌でわかる。
絶対、死なせない。
絶対、助ける。
あの時、おじさまが私を助けてくれたように。
ほら、ペンギンの手が見えた。
その手を掴んで、浮上する。
完全に力が抜けているところを見ると、気絶してる。
鼓動が弱い。
まずい、早く戻らないと。
早く、空気を。
『ゴボッ、』
なに?
急に、いきが、
息はしっかり止めていたはずなのに。
まるで肺を握りつぶされたように、空気が抜ける。
『ガボッ、ゴボッ』
痛い?いや、苦しい?
分からない、わからないけど、、、
そんなことはどうでもいい。
とにかく、ペンギンを、、、彼を船に戻さないと、
私は必死に海面へ向けて水を蹴った