第7章 白波
『…ベポ、風の向きは?』
「東からまっすぐ。
嵐からはその風にうまく乗れば抜けられるけど、みんながどこにいるかわからないから中々指示を飛ばせなくて、、、きっとキャプテンが甲板にいるからまだ持ってるけど、キャプテンも航海術を完全に理解してる訳じゃないから…」
『わかった。
みんなの位置は私がわかる。私は今動けないから、ベポも甲板に行って。
東の風を受ければいいのね?』
「うん!
じゃあ僕も甲板手伝ってくる!」
ベポが甲板に出ていった。
私は見聞色を使ってみんなの位置を把握し、スピーカーに向けて指示を飛ばす。
『ロー!そのまま左舷から風を受けて!東の風に乗って西へ逸れる!』
『ベポ!風が強すぎて帆が裂けちゃう。
ペンギンと一緒に少し帆を畳んで!』
『シャチは舵を!西へ抜ける!』
ベポがメインマストのロープを引き、ペンギンが向きを調節しながらロープを握る。
船が少しずつ旋回し、嵐の軌道から離れていく。
よし、風は掴んだ。
あとはこのまま行けば数分で抜ける。
『ふぅ、、、』
一先ずは大丈夫そうだ。
まだ波は荒いけど、雨と風の勢いが少し弱まった気がする。
あとは急な風だけ気をつけて放っておけば勝手に風が運んでくれる。
私よりもずっと緊張感を持っていた現場のみんながそれを肌で1番感じているはずだ。
いくら強い海賊でも、海が相手なら赤子同然。
少しのミスが命取りになる。
海は、、いや、自然は本当に怖い。
私も自室に戻ろうと航海士室を出た。
(うおっ!)
『っ!?』
うそ…今のは………
『ペンギン?』
私は甲板へ向かって走った。