第7章 白波
ローに言われて自室に戻ると、大人しくベッドに座って待っていた。
ローが本を持ってきてくれるらしい。
コンコンコン
『どうぞ。』
「よ、」
『…ペンギン。なんだか久しぶりな感じね。』
そこには数冊の本を抱えたペンギンが立っていた。
「ベポとシャチが見舞いにいった日、俺じゃんけん負けたからなぁ。」
『ふふ、そうだったわね。…あら、本持ってきてくれたの?』
「そこでキャプテンに会ったからついでにな。
…体調どうだ?」
『うーん、私的には何も変わらないわ。
少し左胸の下の方がちくちくするくらい。
ペンギンならわかるかな…なんかこう、毛糸のセーターを肌に直接着た感じ。』
「ハハッ、そりゃわかりやすい。ムズムズするよな。」
『そうなの!ローなんかね、こうやって言ったら、呆れたような顔してたのよ。』
「キャプテンは頭いいからな〜」
そんな他愛もない話をしながら2人で過ごしていた。
すると、初めて聞くようなブザー音が船中に響いた。
【みんな!大変だ!!前から大きな風が来る!
嵐だ!!】
ベポの慌てた声が響き渡る。
私は布団を跳ね除けた。
『大変!』
「いや、カラはここにいろ。
まだ動いちゃダメだ!」
『でも、』
「大丈夫。今までは4人でやって来たんだ。
そんなに大きな船じゃないからな。」
絶対出て来るなよ!
そう言ってペンギンは部屋を飛び出していった。
…確かに、今私が甲板に出たらローもみんなも気になって邪魔になる。
ベポのいる航海士の部屋で一緒に頭を使おう。
それくらいなら役に立てるはずだ。
『ベポ、手伝うよ。』
「カラ!」
部屋に入ると半泣きのベポ。
事前に予測できなかったのに責任を感じているようだ。
『大丈夫。今なら間に合うから。
…どんな感じなの?』
「えっとね、さっき甲板にいたら、急に風が強くなって、おかしいなって思ってたら、前に風の塊があって、、、
気がついた時にはもう、波が高くなって、嵐の軌道に入ってた…
どうしよう!」
窓を雨が強く叩く。
風もひどい。船の揺れが波の高さと荒さを語っている。