第7章 白波
久しぶりの海で少し嬉しくて、ローに頼んで外に居てもいいと許可を貰った。
まだ雪の降る甲板で、静かな水面を眺める。
…なんだかこう、、、胸元がちくちく痛む。
手の届かないところ…奥の方が気持ち悪い。
「…違和感があるのか。」
『ロー。…うーん、、、違和感っていうと少し大袈裟だけど、なんかこう、こそばゆいというか、ちくちくするっていうか…
毛糸のセーターを肌に直接来た感じ?って言ってわかるかな?』
「まぁ、わからなくはないが…もう少しこう、いい例え無かったのか。」
『…言葉にするって難しいのよ。』
誰もがローみたいに頭がよくないのだから、仕方がないと思う。
「…そろそろ部屋に戻れ。
前にも言ったが、その違和感は組織がちゃんと元に戻ろうとしてる証拠だ。
とにかくそれを邪魔しないように休ませなくちゃあならねぇ。」
確かに、ドクトリーヌのところで口酸っぱく言われたな。
胃とかそういう器官なら休ませることはできるが、肺はそうはいかない。
常に動き続ける器官だからこそ、なるべく動かさないようにじっとしているのが大切なんだと。
『はーい。じゃ、ロー、本かして?』
「あぁ。」
私は安定している海をもう一度眺めてから、部屋に戻った。