第6章 白銀【2】
ずっと眠っていたからか、流石にもう眠れなくて、ローが持ってきてくれたらしい、簡単な医学の本を静かに読んでいた。
少し難しいけれど、以前借りたローの医学書に比べたら遥かに理解しやすい。
暖かい部屋の中、私は1人で本を読み漁っていた。
ドドドドドドドーーーバン!!!
「「カラ!!」」
「わっ!ちょっべぽ!」
「わぁっ!ごめん!」
ーベシャッ
「…お前ら、、、少しは落ち着け。」
『えぇっと、、、、シャチ、ベポ、大丈夫?』
ドクトリーヌの部屋に突っ込んできたかと思えば、シャチの背中にベポが突進して、2人とも仲良く倒れ込んでしまっていた。
ローは呆れきった顔をしてその2人を上から見下ろす。
「…だいじょーぶ、だいじょーぶ。」
「それよりも、、カラ!なんか数日しか離れてないのに凄く久しぶりに感じるな!
身体の方は大丈夫なのか?」
『えぇ。もう大分いいわ。ローとドクトリーヌのお陰。』
「…熱は」
『さっき測ったら36.8まで下がってたわ。随分楽だもの。』
「そうか。」
さっきはあんなこと言っちゃって少し気まずかったけど、ローは何事もなかったように話しかけてくれる。
ローはそれだけ言うと、ノートを手に取り、何かを書きつけ始めた。
「でもカラ。無理しちゃダメなんだからね?
明日の朝出航だけど、あんまり動いちゃダメだよ?
雑用とかは僕たちがするし、体調が少しでも悪くなったらキャプテンにちゃんと言ってね?」
『うん。ありがとう、ベポ。
迷惑かけてごめんね。』
「ううん!迷惑なんて思ってないよ!僕たちいつもカラに助けられてるから。
偶には僕たちが頑張るよ!」
むんっ!
と言わんばかりに腕に力を入れるベポ。
毛がふさふさしてて力こぶは全く見えないけど、その仕草がとてもかわいい。
「あー、そうだ。ペンギンが随分とカラに会いたがってた。
アイツ俺たちとジャンケンして負けたから今1人で船番してるんだ。」
『あら、、、それじゃあ、私も早く会いたいって伝えてもらえる?
心配してくれてありがとう、とも言っておいてほしい。』
「おう!お安い御用だ!」
シャチはきらりと白い歯を見せて笑った。