第6章 白銀【2】
『…ごちそうさまでした。
…ごめんなさい、また残しちゃって、、、』
「無理することはない。これだけ食えれば上出来だ。」
「あぁそうさ。身体の望むことをしてやりな。
腹が減ったらその分だけ食べる。
眠たければ目が覚めるまで眠る。
病人は我慢しないのが仕事だよ。」
『っ、えぇ、、ありがとう、えっと、、、』
誰だっけ、このおばあさん。
話す限り医者のようだけど、怖くない。
それに、絶対に会ったことがある気がする。
「おや、アタシのことがわからないかい?」
『…ごめんなさい。』
「ヒッヒッ、仕方ないさね。
アタシはDr.くれは。初めて会ったのは船の上さ。
ドクトリーヌと呼びな。」
ドクトリーヌ、、、
ー
ーー
ーーー
「ヒッヒッ、病気の匂いがプンプンすると思って来てみりゃ海賊船とはね。」
「さぁ、診せな、小娘。病人はあんただろ?」
「なるほど、、、あの小娘、拍鉛病か。」
ーーー
ーー
ー
『っ、あ!』
「ヒッヒッヒ、思い出したかい、小娘。」
『えぇ。貴方にも沢山迷惑をかけたわ。
ごめんなさい。』
「迷惑、ねぇ。…何、アタシはウチを提供しただけだ。
礼ならそこの小僧に言いな。」
『ぁっ』
それだけ言ってドクトリーヌはさっさと部屋を出て行ってしまった。
…まだ、言いたいことあったのにな、、、、
「カラ。これからのことなんだが、」
『…えっと、私は丸一日寝てたってことは、ログはもうすぐ溜まる頃よね?』
「あぁそうだ。
…とは言っても、今は夕方。船を出すのは危険だ。
出港は明日の朝だ。それまでは俺とお前は此処で過ごす。
アイツらにはもう言ってある。」
『わかった。』
「それと、、、昨日からペンギン達がしつこく連絡をよこしてきてる。
一応目が覚めた旨をアイツらにも伝えようとは思うが、もしかしたら此処まで来るかもしれねぇ。」
ローは少し申し訳なさそうにこちらを見た。
「もし、お前の体力に余裕があれば、連絡してやってもいいか?」
『えぇ、もちろん。…心配させちゃったのね。』
「ふっ、ペンギンが特に会いたがってた。」
『ふふっ、私もみんなに会いたいわ。』
数日会わなかっただけで、凄く変な感じ。
3人の笑顔を思い浮かべただけで、笑みが溢れた。