第6章 白銀【2】
『…おじ、さ、ま…』
…すごく、すごく長い夢を見ていた気がする。
なんだったっけ?
ふと、周りを見回すと、見覚えがあるような、、、ないような、、、
記憶力は良い方なんだけどな…
体を起こそうと、左手をつこうとする。
『あ、』
その方向には、私の左手を繋いだまま固く目を閉じているローの姿。
私の手を握っていない方の手は分厚くて難しそうな本を持っている。
少し冷たいローの手を繋ぐ私の手に、少し力が入った。
「…っ、、、起きたか。」
細められた金色の瞳が私のそれを捉える。
『えぇ。……おはよう、ロー。』
「あぁ。」
ニヤリと不敵に笑うその姿はすっかりいつも通りで、私も静かに笑みを溢す。
ローが立ち上がると同時にどちらかともなく手を離し、ローの手を借りながらベッドの上で座る。
「水だ。」
『ありがとう。』
ローの差し出した冷たい水を受け取り、乾き切っていた喉を労るようにゆっくりと飲む。
私はまだぼんやりとする頭を働かせながらローに問う。
「ロー、此処は?」
『あのババァの家だ。オペのことは覚えているか?」
『いえ、、、なんだか、眠る前の記憶がぼんやりしてて、、よくわからないの。』
「…まだそれなりに熱が高いからな。もう少し身体を休めて熱も下がれば思い出せる。」
『そう。ありがとう。』
「…何か、食べれそうか?」
『少しなら、、、』
「そうか。…待ってろ。」
ローはそう言って立ち上がり、隣の部屋へと消えた。
私はもう一度部屋を見回す。
1番に目につくのはやはり、愛刀の小夜。
そして、机の銀のトレーの上に乗せられている十字架のペンダント。
手を伸ばしてそれらを手に取ろうとするが、、、遠くて手が届かない。
ベッドから立ち上がり、数歩先のテーブルはと向かう。
『っ!』
ガタガタッガシャ!!
膝に力が入らなくて、ガクリと崩れ落ちた。
点滴が大袈裟な音を立てて倒れる。
『やっちゃったな…』
大人しくしていよう。
そう思って再び立ち上がろうと、ベッドに手をつく。
「っ、どうした!!」