第6章 白銀【2】
カチャリ
「…ハァ」
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「…無理だ。とてもそちらには、、、「医者が足りないんだよ!!血液も何もかも!!【拍鉛】を体から除去する方法は必ずある!!!感染もしない!!政府はなぜコレを報じない!!?」
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トラファルガー。
…それはフレバンス1の名医の名だ。
面識こそ無いが、医者の世界では割と有名な名だった。
世間が拍鉛という言葉も忘れ去ろうとしていた頃、【死の外科医】と言う俗名をつけられた医者兼海賊というふざけた男が名を上げた。
ファミリネームを見て驚いたのを覚えている。
だが、生きている筈は無かった上に、写真で見た父親とはお世辞にも似ているとは言えない目つきの悪さ。
ただの偶然だと決めつけた。
俗名の由来を調べることも、出身の海を調べることもしなかった。
ーどうでもいいー
そう言い聞かせながら、必死に目を逸らしていた。
あの日、小僧の父親が最後に縋った医者が私だと知れば、助けを求める声が届いていたと知れば、、、あの小僧は何というだろうか。
それでも医者かと罵倒するだろうか。
何故見殺しにしたのかと憎しみをぶつけるだろうか。
お前のせいで皆殺されたと私も殺すだろうか。
…いや、あの小僧はそんなことはしないだろう。
あの目には過去の憎しみや哀しみは見えなかった。
ただ、目の前にいる患者だけを見つめていた。
純粋に、あの小娘のために動いていた。
嗚呼、だからか。
あの目は想いで患者を救おうとした馬鹿2人を彷彿させる。
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ーーー
「この国は病気なんだ。」
「この国に俺が…桜を咲かせてみせる…!!!」
「それが俺の30年!!!やっと完成した俺の"医学"だ
これで…この国の病んだ心も癒せる"万能薬"さ」
「お"れが "万能薬" に"なる"んだ!!!何でも治ぜる医者になる"んだ!!!
………だって……!!」
「だっで ごの世に"治ぜない病気は ないんだがら"!!!!」