第6章 白銀【2】
カラが眠った。
恐らく体力的な問題だろう。
ババァと俺はしばらくは何もせずに、カラ本人の回復能力で出来るだけ回復させようという結論に至り、片付けて適当に飯を食い、さっさと寝た。
が、
「…」
「…」
医者の勘、というべきか、俺たち2人はほぼ同じタイミングで目覚め、カラのベッドへ向かう。
灯りをつけると真っ赤な顔をしてぐったりと眠るカラ。
とりあえずカルテを手に取り、今までの確認をする。
朝9時にオペ、夕方6時まで眠る、薬草の粥を50g、その後再び眠る。
そして、現在は朝方。
もうすぐオペから1日。これくらいの時期から色々と身体に影響が出始めるだろうが、、、
「……どうだい?」
「……予想はしていた。が、、、やはり、よくはないな。」
「だろうね。」
視線の先で荒い呼吸を繰り返し、熱に浮かされるカラ。
スキャンしてみると、オペで拍鉛を取り除いた部分が炎症を起こしている。
所謂肺炎のような状態。
俺の時と同じだ。
これを乗り越えたら、次は組織の修復が行われる。
酸素マスクと点滴、人工呼吸器、、、は、できれば使いたくないので、まずは初めの2つで様子見するか。
だがその前に、、、
体温を測ろうと体温計に手を伸ばす。
「38.9。ヒッヒッ、こりゃ、まだ上がりそうだ。
峠は今日の昼頃ってとこかい。」
ババァがカラの額に人差し指を突き立て、そう言う。
バカ言うな。指先の感覚で体温がわかってたまるか。それも小数点以下まで。どんな皮膚してやがる。
まぁ、熱がこれからも上がるだろう、というのは見るだけでもわかるが、相手は拍鉛病、まだ何が起こっても不思議ではない。
正確な数値が必要だ。
俺はそう言い聞かせながらカラの熱を体温計を使って測る。
ーピピッ
ーー38.9℃
嘘だろ。
俺は隣にいるババァと自分との経験値の差に愕然とした。