• テキストサイズ

白を厭い、白に憧がる【ONE PIECE】

第5章 白銀


「ほう、それで、お前は誰だい?何の用だ。」

「俺はジュラキュール・ミホーク。治療の依頼だ。」

「ジュラキュールだって?七武海の鷹の目かい?」

「あぁ。患者は俺じゃないがな。」


驚いた。
この男は海賊ではないから例外だが、名だたる海賊どもは自分の船にそれなりの名医を乗せてる。
だからそういう類の奴らの依頼は受けたことがない。
アタシが受けたことがあるのは金になるバカな貴族どもの治療。それとアタシの興味のある仕事、それと島の奴らの病だけだった。


「受けるかは別だが、一応話は聞こう。患者は?」

「患者の名はパトラ・D・カラ、15歳の少女だ。拍鉛病を患っている。発症して1年だ。」

「拍鉛病?何故生きてる?」

「フレバンスの出身じゃないからな。」


それから鷹の目は、赤子の時に傷を負い、拍鉛の糸で縫ったことで発病したこと、今の状態、医者から迫害を受け、医者には半年も診せてないこと、もう医者を信じることも出来なくなったことなど、少女に関する全てを話した。



「世界の名だたる名医に診せようと思ったが、、、アイツがあまりに泣いて嫌がるからな。
もう、これで本当に最後にしようと考え、もう1度政府の資料を検分していたら、拍鉛が毒だと判明させたのは貴殿だと知った。
それで政府の情報を盗んで、そちらに連絡をしたんだ。」

「…なるほどねぇ。」

「…カラの病は、治せる、だろうか?」



鷹の目は今までの淡々とした物言いとは一転し、少し掠れた声で問いかけた。



「…悪いが、拍鉛病はアタシにも治せない。」

「…そうか。」



それから重く、冷たい沈黙が流れた。
互いに受話器を置くこともせず、微動だにしないまま、時間だけが過ぎていった。
/ 291ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp