第2章 白い光
「何の用だ。」
「お前は、能力者だったな。」
「…それがどうした。お前がグランドラインにいたなら大して珍しいもんでもねぇだろ。」
おじさまは何というか、歯切れ悪そうに言葉を紡いでいる
異様な様子に心臓が嫌な音を立てる
「…ある病を、治せる医者を探している。
お前に、治せない病はあるのか?」
病…
『え、ちょっと、待って、おじさま!』
「カラ、黙っていろ。」
私の、珀鉛病のこと?
「能力者だって神じゃねぇんだ。全ての病が治せるわけじゃねぇ。そもそも診てみねぇことには分かるわけねぇだろ。」
「…」
『っ!嫌だ、おじさま、何言ってるの?』
「カラ、見せろ。」
『嫌よ!どうせ、治らない、、、、もう、いいの、』
嫌だ
こんな、会ったばかりの海賊に
また、化け物を見るような目で見られる
いつしか、私もおじさまも病院に罹ることはやめた
私が本気で拒絶するようになったから…
おじさまも無理強いをすることは無くなっていった
それに…政府に密告されたら、今度こそおじさまとも一緒に居られなくなる
政府が私を殺しに来るかもしれない
「…カラ、見せるんだ。」
『嫌!おじさまにはわかんない!!』
人から向けられる目が、どれだけ恐ろしいのか
周りを危険に晒すことが、どれだけ怖いのか
その上…もう、治らなくても、このままでいい
罵声を浴びる辛い日々を続けるより、このままおじさまの元で剣を磨いて、それで死にたい
「…」
ーガッ
『っ!え、嘘、、、やめて!、やだ…やだっ!!おじさま!!』
「…」
『いや!』
ーガバッ
おじさまは私の手を押さえて、無理矢理トップスの左側の裾を上げた
白いアザのある皮膚が、ひんやりとした外気に触れた
『っ!、、や、、、なんでっ、、』
怖くて、悔しくて、悲しくて、掴まれた手首が痛くて、涙が滲んだ
涙を隠すように、長い髪の下に顔を隠した
おじさまは、力の抜けた私の手を離し、首の後ろに手刀を落とした
私は衝撃を感じながら、今度は抗うことなく、意識を手放した