第2章 白い光
トラファルガー・ロー…
だめだ、名前しか思い出せない
賞金首のリストに載っていたのは思い出した
けど、強い剣士達の名前のリストの中にはなかった筈だ
「貴様に話がある。此方に攻撃の意思はない。」
『え?』
おじさまは背中に担いだ刀を船に置き、そう言い放った
刀を…置いた…?
おじさまが…?
「…それで、はいそうですか、という馬鹿がどこにいる。そこの女はすっかり臨戦態勢じゃねぇか。」
驚きを隠せずにおじさまの横顔を見やると、トラファルガーはそう言って私を顎で示した
確かに、沈める気満々だった私は刀の柄に手を置いている
「カラ、刀を置け。」
『…は?』
「置け。」
『はい。』
私はおじさまの言う通り、船に刀を置いた
そこまでしてこの男と話したいこととは…一体なんなのか
そして何より、おじさまが刀から手を離したことに私は衝撃を受けていた
おじさまは世界一の大剣豪
剣士としてのプライドや誇りは決して曲げない
「…船に乗れ。」
「感謝する。」
目つきの悪い男は顎で船の上を指し、私は彼らの船と私たちの船をロープで繋いだ
私とおじさまは刀を船に置いたまま、彼らの船へ飛んだ
「…本物だ…」
「俺たち死ぬのかな…」
「なんでキャプテンこんな奴船に乗せちゃったんだよ〜」
小声で話しているようだが、丸聞こえだ
2人と…1匹の白熊が此方を覗いている
「で、何の用だ。」
トラファルガー・ローは、私達が看板に上がるなり、そう聞いてきた。
「…どこか、船内で話せないか?」
「話したいと言うから上げてやったと言うのに、更に要求か。」
「できれば人に知られたくない。」
おじさまはそう言って、2人と1匹が隠れている船の影を見やった
「…チッ、こっちだ。」
トラファルガーは心底嫌そうに、船内への扉を開いた