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白を厭い、白に憧がる【ONE PIECE】

第5章 白銀


苦しい。


だんだんと力が抜けてきて、伸ばした手もぶらりと下がり、されるがまま波に揉まれた。




ギュ



目も開けられない暗闇の中、身体が何かに抱かれたのがわかった。
それは力強く私を包み、ある方向へ進んでいく。




ーバシャン!



『ッゲホッゲホッ、、ゴッホ!!、おえっ』



何が起こったのか。
私はなんとか目を開けて、周りを見渡す。
辺りは相変わらず嵐の中、少し離れた所に船が漂っていた。
そして私の体を包んでいたのは、、、



『あ、、おじ、さま、、、、』



おじさまは息を切らして、私を抱えていた。
そのまま何も言わずに船まで泳ぎ、私を先に船に上げ、濡れていないタオルで私の体を包んだ後、船を動かして嵐を抜けた。





クゥークゥー




カモメも飛べるくらいの穏やかな海まで抜けきると、おじさまはやっと私の方を向いた。



パチン!



『っ!』

「島を出る前に言ったはずだ。海を舐めるな、と。
嵐の最中には絶対に手を離すな、とも言ったぞ。」


私はジンジンと痛む頬を押さえながら、おじさまを見上げる。


「分かっているのか。お前は今、死んでいた。
俺が助けられなかったら死んでいたんだ!
俺が能力者だったらどうする!?海面に上がった時に船が遠くに流されていたら?俺が間に合わなかったら?海獣に出くわしていたら!?」


おじさまは初めて、私に声を荒らげた。
私はどれほど危なかったのか、私の行動がどれほど軽率だったのか理解し、涙がこみ上げてきた。



『っく、ひっく、、ごめ、なざい、、おじざま、、ぐすっ、、ご、なさい!』



私はこれでもか、と言うほど声を上げて泣いた。
怖かった。
島では子供のヒヒには勝てるようになり、少し、自分に自信があった。
しかし、溺れて、私がいかに無力で、おじさまがいかに大きいか、身に染みて分かった。



『ック、、っく、、、』

「カラ、これに懲りたら、島を出たら俺の言うことは絶対に聞け。
お前はまだ、子供なんだ。」

『はい。』



私が泣き止んだ頃、おじさまは私と目線を合わせて、諭すようにそう言い、私の返事を確認した後、、



「…無事で、よかった、、、」



おじさまは私を抱きしめて、絞り出すように、そう言った。

私はまた、その言葉を皮切りに声が枯れるまで泣いた。
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