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白を厭い、白に憧がる【ONE PIECE】

第5章 白銀


「…気を楽にしろ、すぐに終わる。」



ローはそう言って再び刀を構える。



「ーRoom」



青白いサークルが私とローを囲み、刀が間近に迫る。



『っ!』



痛くない、斬られる訳ではない、そう必死に自分の身体に言い聞かせるが、どうしようも無い嫌悪感から震えが止まらない。

せめて目に入らないように目をきつく瞑り、覚悟を決める。



「…」



ースッ



冷たい風が体内を吹き抜けるような感覚が走った。
つられるように目を開けると、胴体が2つに分かれているのが見える。



「…気分はどうだ。」

『っ、はっ!、、斬られてるのに生きてるなんて、、、変な気分。』

「そうか。…痛みは?」

『ないわ。』

「なら、続けるぞ。
ここからは左の肺の下部を摘出して拍鉛を除く。
…大分生々しいからな、見ないことをおすすめするが。」

『それなら見ない。』

「分かった。」



ローは衝立を持ってきて、私の視界に術野が入らないようにする。
見える範囲のローの動きで、私の体から何かを取り出し、ドクトリーヌの用意していたトレーにそれを置いたのはわかる。
おそらくそれが私の肺…

早鐘を打つ心臓を無理矢理宥めながら、私は必死に気を逸らそうとした。



「なぁ、カラ。お前のその刀は黒刀か?」



ローがピンセット片手にゴソゴソしながら急に尋ねてきた。
私はローの許しを得て握っていた刀を撫でながら答える。



『えぇ、そうよ。おじさまが初めて私を海に連れ出してくれた時にくれたの。』

「名は?」

『小さい夜と書いて、小夜(こよる)。』

「いい名だ。…そういえば、鷹の目の刀も黒刀だったな。」

『そうね。夜はーおじさまの刀はおじさまにしか扱えないの。』

「そうなのか。」

『えぇ。私も一度持たせて貰ったけれど、大きくて重たくて、自力では抜くことも出来なかった。
それに、少し動かしただけで覇気も力も抜かれてへたり込んでしまって、、、それ以来怖くて触れてないわ。』

「お前がそんなになるなんざ、まともな刀じゃねぇな。」

『ふふ、普通ではないことは確かね。』



夜は小夜よりももっと深くて本物の夜のように黒かった。
ただ重量が重いだけじゃ無くて、なんというか、重みの種類が違うような、そんな感じ。
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