第2章 白い光
ノースブルー
やはり北の海というだけあって、少し冷える
私とおじさまはこの海で海賊船を2、3隻沈めた
覇気も使えるようになってしばらく経ち、刀が刃こぼれすることもなくなった
にしても、今回の海賊船達は弱い
グランドラインでもないので当たり前と言えば当たり前だが、手応えのない相手ばかりだ
これなら島にいるヒヒ達の方が何倍も
偶々だろうが、今回は賞金首ですらない相手だった
ーと、その時
『…おじさま。』
「…」
少しだけ、芯のある気配
遠くに見える小さな船に掲げられているのは、海賊船の象徴の海賊旗
私は刀に手を掛け、気配の正体の人間の顔を拝もうと、船の上に立った
向こうの船は、おじさまの姿が見えたからか、バタバタと看板を人が駆け、何やらギャーギャーと騒いでいる
(…結局何をやっても、おじさまが本気を出せば成す術なく沈むのに。)
勿論、七武海が無敵だとは思ってはいないが、この海賊船の中におじさまより強い人間の気配は1つもなかった
(あ、)
さっきまでとの雑魚とは違う、そこそこ強そうな気配
その気配を漂わせる男が警戒心を露わにして、此方を睨み付けていた
目つきの悪い、長身で細身の男だった
どこかで見た顔だった
賞金首だったかな?
ーガタッ!
「っ、貴様、トラファルガー・ローか。」
『…おじさま?』
不意に、おじさまが立ち上がって、その男に尋ねた
そんなに驚くほど強いのだろうか
…いや、それはないな
私ならまだしも、おじさまが顔色を変える強者なんて四皇レベルの猛者だ
流石にそれはない
「あぁ、そうだ。七武海がこんな所になんの用だ。」
やたら長い刀を持っている色黒の男…
剣士なのか…
私はおじさまから教わった強い剣士達の名前のリストを頭の中から手繰り寄せた。