• テキストサイズ

白を厭い、白に憧がる【ONE PIECE】

第5章 白銀


『ロー…』


ドクトリーヌの後ろにローの姿が見えた。
柄にもなく安心して、ほっと息が漏れた。





ーー
ーーー
ーー





そろそろ雪が鬱陶しく思ってきた頃、やっと船が見えた。
いつもはどうって事ないが、やはり雪道は歩きにくく、荷物がより重く感じる。
すると、船の上でギラリと黒い何かが光るのが見えた。


(なんだ?)


もう少し近づいてよく見ると、それはカラが抜いた刀だった。
刀を向けた先にはやたら薄着のババァがいる。


(誰だ?)


明らかに俺やカラよりは弱い。
にもかかわらず、一分の隙もなくカラが刀を向けているのは何故だ?




「オイ、テメェ、そこで何してる。」

『ロー…』



俺はババァの背後から声をかける。
カラは俺の顔を見るなり肩の力が抜けたように、刀の鋒を下ろした。


「ヒッヒッヒッ、船長のお出ましかい?
何、まだ何もしちゃいない。ちょいとそこの小娘を診ようとしただけさね。」



余裕を感じさせるように、ババァは俺にそう言う。
なるほど、このババァ、例の魔女とか呼ばれる医者か。
それでカラがやたら警戒してたのか。



「あいつは俺の患者だ。帰れ。」

「若造が…ん?」



ババァは俺の手元…城から盗んできた書物に興味を示した。



「ヒッヒッ、城から盗んできたのかい?懐かしいものを見た。
なるほど、、、あの小娘、拍鉛病か。」

『っ!』

ーガシャン!



カラがびくりと肩を震わせ、刀を落とした。
遠目に見ても、ガタガタと震えて、パニックになりかけているのが分かる。



「ベポ。」

「うん!カラ、大丈夫だから、、、中にいよう?」

『あ、、、』



パタン



カラは何か言いたげな顔をしていたが、半ば強引にベポに抱えられて船室へ帰った。
/ 291ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp