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白を厭い、白に憧がる【ONE PIECE】

第5章 白銀


「ヒッヒッ、病気の匂いがプンプンすると思って来てみりゃ海賊船とはね。
…この船には病人が乗ってるね?どれ、ひとつ見てやろう。」

『…貴方は、医者?』

「あぁそうさ。ドクトリーヌと呼びな!」




ドクトリーヌ、、
ロー達に聞いた話では、この国には医者は魔女しかいないと聞いた。
…恐らく目の前にいる人がその人で間違いないだろう。




『…いえ、お気持ちだけ頂くわ。
この船には医者が乗ってるの。北の海のトラファルガー・ローって知らない?』

「あぁ、死の外科医とか呼ばれてる小僧かね?」

『ええ。これは彼の船。患者は彼が診てるから医者はいらないわ。』

「患者はどこだい?」

『寝てるわ。』

「診るだけさ、別に取って食いはしない。
なんだかねぇ、妙な臭いだ。昔一度診たことのあるような、無いような、、、記憶力は良い方なんだけどねぇ。
まぁ、気になるだけさ。
スッキリしたら帰るよ。」

『彼の意思なしに船内に他人を入れるわけにはいかないし、許可なく患者を診せることはできない。』

「ヒッヒッヒッ、それは困ったねぇ。」




診たことがある?
…あぁ、そういうことか。

ならば尚更診られるわけにはいかない。

白い町から出た拍鉛病の人々はみんな殺された。
診たことがあるというなら、恐らく私だ。
昔、おじさまから病院を連れ回された時にこの人も私を診たんだ。

思い出したくもない、医者達の恐れ、化物を見るようなあの表情。



私は無意識に刀を強く握っていた。






『っ、帰って。ここに貴方の患者はいない。』








少し、声が震えた。
怖い。

そう自覚すると、左腹を中心に、アザのある箇所がズキズキと痛む気がしてきた。



「カラ?どうしたの…え!誰!?」

『ベポ、大丈夫。落ち着いて。』

「ほぉ、面白い。クルーにクマがいるのかい?」

「クマでスミマセン…」

「ヒッヒッヒッ、死の外科医と呼ばれる男も、案外悪人でも無さそうだ。」




彼女はベポを見て、心なしか嬉しそうに笑ったあと、再び私を見た。





「さぁ、診せな、小娘。病人はあんただろ?」

『…違うわ。帰って。』

「違わないね。あたしにゃ分かる。」





何故分かった。
いや、それより、早くこの人を船から遠ざけないと。





「オイ、テメェ、何してる。」
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