第5章 白銀
「カラ寝ないの?僕が待ってるから寝てていいよ?」
『ううん。待ってる。』
「ダメだよ。カラ体大事にしないと。」
『ふふ、安静にしてて治るものじゃないわ。』
「でも、、、」
『いいの。ローから借りていた本もまだ読み終えてないし、横になってもきっと気になって眠れないわ。
ベポの方こそ、寝ててもいいわよ?』
「僕も気になって眠れないから、、、」
『じゃあ2人で待ってましょう?』
私は医学書を、ベポは海図の本を見ながら時間を過ごす。
しばらく読んでいると、隙間風が入り、私は体をふるりと震わせた。
(こんな寒い中城へ行ったロー達はきっと体が冷え切って帰ってくるわ)
私はキッチンは行き、リゾットを作ろうと思った。
もう時計は3時を回っていて、ベポも小腹が空いてきたはず。
少しだけお皿によそってテーブルに帰ってくると、ベポは机に突っ伏して、スースーと、心地良さそうな寝息を立てて眠っていた。
いくらクマとはいえ、このままでは風邪をひいてしまう。
流石にベポを担ぐことはできない。
私は部屋から掛け布団を持ってきて、ベポにかけた。
その時に触れた毛皮がすごくふかふかで、気持ちがいい。
しばらくチラチラとベポを見ながら葛藤したが、どうしても自制が効かなくて、、、
(寝てる、、わよね。
少し、だけ、、、)
私はベポの背中にモフリ、と体を預けた。
今日、お風呂から出てきたときは半分くらいに縮んでいて驚いたけど、今はすっかり乾いて暖かい。
私はベポを起こさないように優しくもふもふを楽しんだ。
「ん、、」
(まずい)
ベポの声にハッと我に帰ると、かなりの時間、ベポの背中を堪能していたことに気づいた。
(人をダメにする触り心地だった、、、)
幸い眠ったままのようだ。
安心して一息つくと、私は再び本に目を向けた。
窓の外から空を見上げた。
(星が綺麗。今にも降ってきそう。)
明日は晴れかしら、、
そんなことを考えながら、私はパラッとページを捲った。