• テキストサイズ

白を厭い、白に憧がる【ONE PIECE】

第5章 白銀


ー深夜


「そろそろ行くぞ。俺は文献を探る。お前ら2人はそこに書いてある薬品や器具を盗め。何かあればすぐに連絡しろ。」

「「アイアイ!」」



俺はその返事を確認してから、2人を能力で備品部屋に飛ばし、自分も書庫に入る。

書庫は少しカビ臭く、本も古いが、整理整頓はきちんとなされていた。



…フレバンスが滅んだのは8年前、拍鉛病が世に知れ渡ったのはその少し前からだった筈だ…



俺はその辺りの年代の本をパラパラと捲る。
伝染病だとしている本がやはり多い。
政府がねじ曲げた事実だ。端から政府出版の本は当てにしていない。
俺が探しているのはこの島の医者達が残した研究資料などだ。



探しても探しても、伝染病だと結論づけ、全員駆除したからもう研究の必要性はなくなったと書いてあるものばかり。
駆除だの排除だの、、、胸糞悪い言葉ばかり目について腹が立つ。

俺は自分が冷静さを失っているのがわかった。

仕方なくその辺りの本を読むのを辞め、自分を落ち着かせるためにカラが学びたいと言った栄養学の本を探した。



こちらは興味深そうな文献が多くあり、めぼしいものを抜く。

少し隣を見ると、医学の知識のほとんどないカラにはもってこいの本まであったのでそれも抜き取る。

…時間が許すなら全ての本を読み切るまでここに居たい気分だ。



俺は再び目的の本を探し始めた。

次は論文の多く並ぶ棚から資料を手に取る。



【拍鉛の加工品について】



確か、カラの病は拍鉛の糸によって縫合されたのが元だった筈だ。


「っ!」


それをふと思い出し、俺は手に取ったその癖の強い字で書かれた紙の束を捲る。
そこには拍鉛の成分解析やら特性やらが細かく記載され、反応性までも正しく書き込まれていた。
どうやらコレを書いた奴は優秀な医者らしい。
サインは癖が強すぎて読めはしないが、お目当のものが見つかり、俺は自分の口元に弧が浮かんだのがわかった。
/ 291ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp