第5章 白銀
『…本気?』
「あぁ。」
『…絶対、脱がなきゃだめ?』
「じゃないと見えねぇだろ。」
今の時点で私はかなり限界だ。
下着が見えるギリギリまで服を上げられ、偶にローの指がアザに触れる。
ローは知っているのだろうか、服を脱いだら私は下着だけだ。
そんな姿晒したら正直、死ねる。
「俺は医者だ。別に気にしない。」
私が気にする。
医者でもローでも恥ずかしいものは恥ずかしい。
なんとか回避できないか。
っ、そうだ!
『能力でどうにか見えないの?』
ローはオペオペの実の能力者だ。病気のところだけ見る、とか出来るかもしれない。
「無理だな。臓器なら透視できるが、服の下は見えない。
俺が未熟なだけかもしれねぇが。
…すまない。」
あ、ダメだ。
ローに謝らせてしまった。
私のために診る、と言っているのに私が拒否するなんて、あってはならない。
私は一気に自分の態度の非礼さを恥じた。
診察を放棄し、私の自己申告でもいいのに、しっかりと医者の責任を果たそうとしてくれているローに失礼だ。
『ロー、ごめんなさい。失礼なこと言って。服だけ脱いだらいいのよね?』
「あぁ。すぐ終わらせる。」
ロー静かに目を閉じ、後ろを向いてくれた。
私は心臓が破裂しそうなくらい緊張しているが、覚悟を決めて上半身下着姿を晒す。
『…ロー、もう、いい、、よ。』
タオルをまだ胸元に当てた状態でローを呼ぶ。
肌は寒いけど、顔は熱い。
きっと私の顔は今真っ赤だろう。
「…取るぞ。」
私が頷くと、胸元に当てたタオルを取る。
私はシーツを握りしめ、目を瞑る。
心臓がバクバクとうるさい。
私はじっと、ローの指示を待った。
「…」
『…』
どれくらい時間が経っただろう。
まだ1分も経っていない気もするし、10分も経った気もする。
チラリとローの顔を盗み見ると、ちょうど目があった。
「反対向いて背中の方を診せてくれ。」
『…うん。』
私はベッドの上でゴロリと寝返りを打った。
胸元が見えなくなって、正直力が抜けた。
『っ!』
つつーっとローの指が腰のアザに触れる。
私は驚いてピクリと肩を震わせた。
「悪い。痛むか?」
『う、ううん。びっくりしただけ。』
「そうか。…もういいぞ。」