第5章 白銀
「あ!そうだ。忘れないうちに、、、
カラ、これ頼まれてたやつね。」
『ありがとう、ベポ。重くなかった?ごめんね、今日ついていけなくて。』
「ううん!全然大丈夫!!」
「なぁベポ。そのデカイ包みなんだ?」
「ふっふっふ、これはね〜。カラ、開けてみて?」
『え?うん…』
私はベポに言われるがまま、大きな赤い包みを開ける。
『わぁ!かわいい!!』
「おぉ!あったかそうじゃん!」
その中にはてっぺんに丸いもふもふのついた白のニット帽と、白いマフラー、それから部屋で履ける白熊のもふもふのスリッパなど、あったかそうなグッズがたくさん入っていた。
「見て見て!これ僕そっくりでしょ!」
「お!本当だ!」
「にしても、白ばっかだな。自分が白熊だからか?」
「へへ、バレた?でもちゃんと理由もあるんだよ!
カラ、いつも黒い服でカッコイイけど、少し白があったらもっといいかなぁって思ったんだ!」
そこで私はふと自分の服を思い浮かべる。
昔は良く好んで着ていた白い服。
鉛病が分かってからは白いものは避けていた。
白は確かに好きではない。
でも、世界には白くて綺麗なものが沢山溢れてる。
私は密かに、白に憧れていた。
『ふふ、みんなありがとう。嬉しいわ!大切に着るね。』
「うん!」
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コンコンコン
「俺だ。」
『どうぞ。』
ガチャ
ローは今日もいつものように銀のトレーを持ってやってくる。
私の腕に針を刺し、減っていく液体を眺める。
「…白、嫌いじゃ無かったのか?」
『服のこと?』
「あぁ。」
『…色で言うと、確かにあまり好きな色ではないわ。やっぱり、アザを思い出してしまうから。
でも、そんなことよりもね、私のためって言う気持ちがなによりも嬉しかった。
色なんてどうでもいいくらいに。』
「…そうか。ならいい。」
『それに、提案したのはローだって聞いたわ。
私のためにローが考えて、ベポが選んで、シャチとペンギンは似合うって言ってくれた。それだけでもう、十分嬉しい!
みんなの想いがこもった大切な宝物だわ!
ありがとう、ロー。』
「…別に、そんな大層なものでもない。」
ローはそう言って、視線をさらに下に落とした。