第5章 白銀
「ただいま〜」
「帰ったぞ。」
『あら、2人とも、おかえりなさい』
「ん〜!いい匂い!!今夜シチュー?」
『えぇ、温まるでしょ?』
「やった!!」
「オイ、ペンギンはどこだ。」
『あぁ、ペンギンなら多分部屋だけど、、、入る前にノックしてあげてね?』
「あ?」
『いいから、お願い。』
「…分かった。」
パタン
「ペンギンなんかあったの?」
『うーん、まぁ、色々ね。』
「ふーん。ま、いっか。」
ー
ーー
ーーー
ーー
ー
コンコン
「俺だ。入るぞ。」
「あー!ちょっと待って!あと5分!!」
「…なんだよ。」
「いいから!ちょっと待って!!」
なんなんだ。
今更俺に見られて不都合なことなどあるのか?
シャチならともかく…実は真面目なペンギンが俺に隠し事だと?
カラも何か知ってる風だったな。
…怪しい。
「…入るぞ。」
「え!?」
ガチャ
「あ、」
「…なんだ、その面は。」
そこには鼻と目の周りを赤くしたペンギンが立っていた。
濡れたタオルを持っていたことから冷やそうとしていたことも伺える。
「待ってって言ったのに!キャプテン酷い!!」
「…悪かった。」
…まさか泣いているとは思わないだろう。
だが流石に悪いことをした。
俺は部屋の隅で帽子を伏せ、ペンギンに問いかける。
「…で、何があってそうなった。」
「…それ、普通聞きます?」
「理由によってはその相手を殺す。当たり前だ。
クルー泣かされて放っておく訳がねぇだろ。」
「船長〜!」
「うるせぇ。で、何があった。」
ペンギンが泣くなんざよっぽどだ。
いつもは適当に扱っているようにみえるが、こいつらは俺のガキの頃からの付き合いだ。
…口が裂けても言わないが、大切なクルーを泣かせる奴には、容赦しない。
俺は静かに怒りの火を起こしながらもう一度聞く。
「いや、誰も殺さなくていいんですけど、、、
っあーー!!!キャプテン!本当に言わなきゃダメですかねぇ!
俺今でも恥ずかしくて死にそうなのに…」
「…お前、今更俺に知られて恥ずかしいことなんざあるのか?」
「そりゃありますよ!」
「へぇ、そうか。
だがそんなことはどうでもいい。いいから、言え。」
「えぇ!」
勿体ぶられるのは嫌いだ。