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白を厭い、白に憧がる【ONE PIECE】

第5章 白銀


私は少し考えてから口を開く。



『えぇ。今はそんな風に考えてはいないわ。
この病気が治るなんて、考えたこともなかった。
でも、ローから治せると聞いた時、私ね、嬉しかったの。
凄く、凄く嬉しかったの。』

「…」

『あんなに訪れる死を待っていたのに、その言葉を聞いた瞬間、頭の中に浮かんだの。』



私はあの時のことを思い出しながら目を閉じる。



『世界を見たい。
その言葉だけが浮かんだ。』



おじさまは私のためにたくさん調べて危ない橋も渡ってきてくれたけど、実際は私が一番に諦めてた。
さらに諦めたことからも目を逸らし、物分かりの良い人間を演じてた。

…でも、情けないことに、ローの言葉を聞いて、呆気なくそんなものは吹き飛んだ。
本当の私の夢がすぐに出てきた。



『私、本当はずっと世界を見てみたかったんだ。
それが私の夢だった。
本で見た信じられない世界を実際に見たい。
…それでどうする、って言う訳じゃないから、、、海に出てる海賊の人達とは比べものにならないくらい小さな夢だけど、、
でも本当に、ただ見てみたいの。
この世界を。』



私はゆっくりと目を開け、ペンギンを見た。



『って、え!?どうしたの!大丈夫!?』



ペンギンが帽子を深く被り、ズビズビと鼻を鳴らしながら泣いていた。



「あぁ、大丈夫だっ、、、
カラ!小さぐなんかねぇよ!世界を見たいって、それは十分大きな野望だ!!
それが一番自由な奴だ!海賊王以外成し遂げたことがない偉業だ!!
小さいわけあるか!」



ペンギンは私に強くそう言いながら続ける。



「でも、本当に、、よがったなぁ!
カラ、病気治るって、よがったなぁ!!
時間かかるかもしれないけど、、キャプテンなら絶対治じでくれるからさ!頑張ろうな!!
だがら、、もう絶対いつ死んでもいいとか言うな"よ!
もう絶対命捨てたらダメだからな"!!
約束だ!!!」



そう言って乱暴に顔を拭きながら小指を突き出すペンギン。



『えぇ、約束。』



私はぐちゃぐちゃになった顔にクスリと笑いながらも、差し出された小指にしっかりと自分の指を絡めた。
目尻には暖かいものが滲んでいた気がするが、それはきっと私の気のせいだろう。
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