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白を厭い、白に憧がる【ONE PIECE】

第5章 白銀


聴けば聴くほどクソだな。
医者ならば患者を治すのは当たり前だ。
医療を逆手にとって国民を管理する王政は確かに腐りきっている。

まぁ、海賊の俺が言えたことではないがな。

王に従わされる医者、か、、、この国の医者はつくづく不憫なものだ。



「しかし、この国において2人だけ、王の医者狩りから逃れた者がいたんだ。」

「お!もしかしてそいつらが街の味方みたいな奴か?」

「はっ、それなら良かったんだけどねぇ…。
残念ながら片やヤブ医者、片や魔女だ。
ヤブ医者の方の名はDr.ヒルルク、魔女の方はDr.くれはだ。」



ヤブ医者、ねぇ。
俺の1番嫌いな人種だ。
知識もねぇ、腕もねぇ医者が医者を名乗るな。
患者を治してこその医者だろう。
いや、それより、、



「オイ、さっき医者狩りから逃れた者がいた、と言ったな。
そいつらはもう死んだのか。」

「き、キャプテン!そんなダイレクトに、、、」



悪いが俺はシャチのように話は上手く無いんだ。
俺は男の顔をまっすぐ見た。



「…Dr.ヒルルクは、ね。もう、3年になる。」



男は遠くを見るような目で答えた。



「そうか。」



要は魔女しかまともな医者は街にいない、と。
そいつから盗んでもいいが、、、そいつの腕がいいかはわからねぇ。
やはり当初の予定通り、王宮に忍び込むか。




「ただね、Dr.ヒルルクは国を救おうとして死んだんだ。
確かに治療は酷いものだった。トカゲの目玉を飲まされた者もいたと聞く。
だが、彼の最期を聞くとね、どうしても本当の意味でのヤブ医者ではなかったのでは無いかと思ってしまうんだ。」



トカゲの目玉だと?
その時点で俺の中ではヤブ確定だが、まぁ、今の俺にはどうでもいいことだ。



「なるほどなぁ。…おっちゃん、いろいろ教えてくれてありがとな。俺たちそろそろ行くよ。」

「あぁ。気をつけてな。」

「おう!」



俺たちは今日は切り上げて船に帰った。
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