第5章 白銀
「寒っ!!ベポ〜マジで毛皮貸してくれねぇ?」
「脱げないから!」
「そこをなんとか脱ぐんだよ。」
「無理でしょ!!」
後ろでアホみたいな会話やってるバカを無視して酒場に入る。
ベポとはここで一旦別れる。
「ベポ、買い物のメモは持ってるな?」
「うん!」
「ならそれに加えて、カラの服も買って帰ってやれ。
あと首に巻けるやつとかも有ればそれも頼む。」
「あ〜カラ確かに厚手の服持ってなかったもんな〜」
「ログの溜まる時間も聞いておけよ。」
「アイアイ!キャプテン!!」
ベポは街の明るい方へと去っていった。
街を見る限り、王政が腐ってる割にはそこそこ治安は悪くないようだ。
その寒さで海賊どもも上陸したがらないのも理由の一つだとは思うが。
キィ
「いらっしゃい。」
こういう寒い土地は酒場は比較的昼間からでも賑わう。
体温を上げるのに酒をよく飲むからだ。
俺達も適当に酒を頼む。
「酔わねぇ程度にしておけよ。」
「わかってるって〜。」
シャチはそう言って度数の低い酒を頼んだ。
俺は寒い土地特有の度数の高い酒をストレートで頼む。
「うわっキャプテンずりぃ。」
「…」
俺は酔わねぇからいいんだよ。
その言葉を飲み込み、ジロリとシャチを睨む。
「アンタ達旅人かなんかかい?」
隣に座っていた男が話しかけて来た。
酔っているのか、顔が少し赤い。
「あぁ。補給のために寄ったんだ。」
「へぇ。医者探してきたんじゃないならよかったよ。
この島が医療大国と言われて来て肩を落とす人は嫌と言うほど見て来たからねぇ。」
「確かこの島には王宮にしか医者はいないんだっけ?
じゃあみんな風邪ひいたらどうしてんの?」
「風邪くらいなら皆自分でどうにかしてるね。
それに、、、別に診てもらえない訳ではないよ。」
「と、言うと?」
シャチが順調に情報を引き出す。
この男の軽さはこう言う時に役立つ。
「…王に頭を下げ、大金を払えば診てもらえないことはない。
イッシー20の腕は確かだよ。
ただ、知識の流出を防ぐため、とか言って海外の人の治療は一切引き受けてないんだ。」
「なるほどな〜。」