第1章 白の呪縛
あの日から2年、私は16になった
あの夜からの2年間、私はおじさまから沢山のことを教わった
剣術は勿論、体術や銃の扱い方、覇気についてのこと、航海術、怪我の簡単な応急処置法、世界の情勢についてなど、他にもたくさんのことを教わった
「カラ、海へ出る時は髪を下ろして、顔をなるべく隠して過ごせ。目立つことは避けろ。」
「賞金首には絶対になるな。俺が居ない時は必要に迫られない限り、剣を抜くな。」
いつもそう言っていた
ドフラミンゴが七武海となってから、おじさまはずっと警戒していた
私は何度か、おじさまの‘暇つぶし’について行った
名を上げて間もない海賊達を狩ったり、船を操ったりして、実践的な力をつけていった
その度に
【海へ出る】
その未来がそう遠くない所にある
そう、悟った
その未来は私の胸にどっしりとのしかかっていた
この2年で、白いアザはどんどん広がっていき、痛むようになった
…それと同時に、あるかも分からない治療法を探す旅に出るよりも、
独り、海で寂しく死ぬよりも、
医者や研究者から罵声を浴びせられる日々を過ごすよりも、
死ぬのなら此処で、おじさまの居るこの地で、おじさまに見守られながら死にたい
そんな、自分勝手な思いがどんどん強くなっていた
ーそして現在、
『北の海、、、か。』
私が生まれたであろう海
母が死んだ海
おじさまと出会った海
私の…始まりの海
いつものように、船に最低限の荷物を乗せ、自分の刀を腰に刺し、黒いロングコートを羽織った
「もう出せるか?」
『ええ。』
おじさまが船に乗り込むと、私は軽く船着場の梁を蹴ってロープを手放す
魚達の動きを探り、海流を掴むと船は勝手に島から離れていく
そうして私達は何度目かの暇つぶしに出かけた