第1章 白の呪縛
おじさまは、そこまで話し終えると、ゆっくりとこちらを向いた。
【ドンキホーテ・ドフラミンゴ】
私も知っている、王下七武海の海賊。
あれが、私の父親…。
そして、母を殺し、私の左腹の傷を付けた人。
【白い町、フレバンス】
政府によって滅んだ国
世界政府の利益のために死んだ国
【珀鉛病】
珀鉛による中毒
いずれは死が確実に待つ病気
治すより、殺す方が楽だから…
だから治す気なんて誰にもない…
頭が、追いつかない
「カラ、」
おじさまは、優しく、私の名を呼んだ
私の前に静かに立って、肩に手を置いて言った
「お前は、必ず海へ出ろ。
今はまだ、グランドラインを生き抜くには力不足だが、お前が覇気を自在に使えるようになれば、必ず海へ出るんだ。
海は広い。
必ず、珀鉛病を治す手段は見つかる。
お前の母親が命懸けで俺に託したその命、絶対に無駄にするような真似はするな。」
おじさまは鋭い鷹の目で私をしっかり見て言った
私は呆然とするしかなかった
まだ14の私には、それだけの情報を処理して、おじさまの言葉を理解するのは難しかった
ただ、涙が溢れた
何故なのかはわからないけれど、止められなかった
私はただ、泣いていた
流れた涙をそのままに、突然目の前に現れた死、この身に流れる恐ろしい血、近く独りで海へと出るという将来
立ち尽くし、涙を流し続ける私を見て、おじさまは静かに部屋を出て行った
ーガチャ
ーペタ
おじさまが部屋を出た音がして、私は同時に、膝から崩れ落ちた
それからあの日のことはよく覚えていない
座ったまま眠ってしまっていたのか、泣き叫び、疲れたのか、
目を覚ますと、自分の部屋のベッドに寝かされていた