第5章 白銀
(「些細なことでも身体に異常が有れば言え。絶対だ。」)
ローの言葉が頭を過ぎる。
これは拍鉛病に直接関わるものだ。
隠しておくべきではない。
とは言え、今の私にはまだ素直に言う心の準備も何もない。
今日、ローが帰ってきたら、夜の注射の時にでも言おう。
そう決めて、私は甲板へ足を進めた。
「あ、カラ、見えたよ!」
双眼鏡を覗くベポが興奮気味に指差すその先に島が確かに見えている。
遠目に見えるそれは、白い塊のようで、肉眼では島には到底見えない。
『凄い。白いのは雪のせい?』
「うん、そうだよ。雪が積もってるんだ。」
グランドラインの冬島は本来あんな姿らしい。
常に雪が降り注ぎ、雪と共に人々が暮らす。
「…見たところ街はねぇな。内陸部にあるのか?
まぁいい。あの岬の辺りに船をつけろ。」
「アイアイ!」
ベポが舵を切り、ローの言ったように船をつける。
「…カラ、ペンギン、船番頼んだぞ。何かあればでんでん虫で連絡を取るから出れるようにしておけ。」
『了解。ロー達も気をつけて。いってらっしゃい。』
「あぁ。」
ローはシャチとベポを連れて島へと上陸した。