第5章 白銀
「キャプテン!多分もうすぐ着くよ〜。」
ベポの声が船内に響く。
その声を聞いてローはリビングに私たちを集めた。
「いいか。もう一度確認しておく。
この島での1番の目的は補給だ。主に薬類や医療器具のな。
以前言っておいた通り、ドラムは医療大国だ。王宮には必ず莫大な資料も医療器具もあるだろう。それを盗む。」
「…わざわざ王宮まで行って盗むの?前の島のように街で買ってはダメなの?」
ベポが不思議そうに尋ねる。
確かにそれは前に聞いた時から謎だった。
「あぁ。生憎今のドラムは王政が腐ってやがる。
医者は全員王宮に集められているらしい。まぁ、街に目当てのものが売っていればそれでもいいがな。」
「へぇ。キャプテン詳しいね。」
「医療大国と聞けば調べるのは当然だ。
…まあ、食い物などの補給はいつも通りやるから、ログの溜まり具合にもよるが、、、はじめの2、3日は聞き込みと補給だ。
船番は…
『あ、私やる。』
「あぁ。なら1日目はペンギンも残れ。シャチは俺と聞き込みで、ベポは買い物だ。カラ、ベポに必要なもの言っておけ。」
『了解。』
「…ミーティングは終わりだ。各々準備をして上陸に備えろ。」
「「アイアイ!」」
私も一度部屋に戻って、船番の時、何かあってもすぐ動けるよう、着替える。
ガタガタ!!
『痛っ!………く、あぁ!!』
ズキン、ズキン
刺すような痛み。
心臓の拍動に合わせてやってくる波。
今までローに痛み止めで押さえてもらっていて、久しく経験していなかった痛み。
左腹だけでなく、腹部全体と背中まで痛む。
シャワーを浴びる際も、着替える際も、目を逸らし、必死に見ないように逃げていたアザ。
おじさまといる時も、進行しているのを認めたくなくて、何度も目を背けたそのアザ。
久しぶりに直視したソレは、確実に私の体を蝕んでいた。
『くっ……!』
私は悔しさに顔を歪め、唇を噛みしめて掌を思い切り握り込んだ。