第4章 白い道【2】
「今日の晩飯は俺が作る。お前はじっとして本でも読んでろ。」
『あっ!』
私が作るから大丈夫、、そう言おうとして止まった。
私の手、今薬でベトベトじゃない!!
『ロー…ごめんなさい。』
「…謝るな。」
『っ!』
ローは私の頭を優しく撫でて、そう言った。
おじさまとは違う、髪を崩さないような絶妙な力加減のそれになんだか心臓が強く打った。
ー
ーー
ーーー
ーーーー
「オイ、飯だ。」
「え!今日キャプテンが作ったの!?」
「あぁ。今カラは霜焼けだからな。」
「言ってくれたら俺作ったのに〜」
「ぎゃっ!シャチが作ったらカラ死んじゃうよ!
僕たちだって慣れるまで随分時間掛かったのに…」
「失礼な奴だな〜」
テーブルに並べられた料理は和食で彩りもすごく綺麗だった。
『おいしそう。
ローは料理もできるのね。』
「…昔、できるようにならざるを得ない状況に置かれたからな。
お前程上手くはできないが、それなりには、な。」
「うわっ!キャプテンまでそんなこと言うの!?
俺達だって飯は結構頑張って作ってたのに!!」
「いや!シャチのはやべぇよ!人が食うモンじゃねぇもん!!」
「ハァ。うるせぇ。早く食わねぇと冷めるぞ。」
…確かに前に出されたシャチの料理は凄まじかったな。
そう思い苦笑いを浮かべながら箸を取る。
『っ!美味しい!!』
ローの作ってくれた煮物はすごく味が染みて、出汁も効いてて本当に美味しい。
「…そりゃどうも。」
『ロー、今度作り方教えて!』
「んな大したモンじゃない。お前の作る飯の方が俺は好きだ。」
『あ、ありがとう。
でも!この煮物とってもおいしいわ!どうしても作れるようになりたいの!』
「…わかった。だが初めに言っておくが、本当に大したことはしていないからな。」
『わかったわ。ありがとう!』
・
・
・
「ねぇねぇ、なんかさ、キャプテン変わった?」
「わかる。具体的にどことは言えないけどなんか違う。」
「うーん、俺的には、キャプテンとカラの間の壁が無くなったように見える。」
「あぁ…なんとなくわかるかも。」
3人は言いようのない違和感を感じながら目の前の食事に手を伸ばした。