第4章 白い道【2】
「それにしてもお前ら…手袋もせずに雪遊びしていたのか。
カラの手、真っ赤になっていたぞ。」
「あぁ!ごめんよカラ!!手、大丈夫?」
『え、えぇ、大丈夫よ。霜焼けだって言われたけど薬も塗ってもらって、もう殆ど痛くないわ。』
「よかった。僕、熊だから寒いの心地良くて気遣い出来てなかった…ダメな熊でスミマセン。」
『あぁ!大丈夫!大丈夫よ!ベポ。
私が手の感覚無くなったの気付いてたのに放置したのもいけないの!
そんなに落ち込まないで。』
「カラ〜!」
「…まぁ、ベポはいいとして、、ペンギン、シャチ、お前たち2人は何も感じなかったのか?」
ローは責める、と言うよりは心底不思議そうに2人を見つめる。
「あー、俺たちは、、、正直冷たいのとか気にしなかったっていうか…」
「冷たいだけだし別にいっかーとか、思ってたりして、、はは…」
「ハァ。」
ローは心から呆れた様子でため息をついていた。
「カラ、覚えておけ。雪は普通手袋をして触るものだ。
素手で何時間も触り続けるのはこのバカ2人だけだ。」
『え、あぁ、、わかったわ。』
「お前らも次からは手袋しろよ。」
「「はーい」」
バカ2人って、
それでも2人を見るローの目は暖かくて、2人のことをちゃんと心配しているのが伺えた。
…暖かい。
海に出て、仲間というのがこんなにも暖かいものだと知った。
おじさま以外の人と関わることは恐怖でしか無かったけれど、ローのように、病を受け入れてくれる人もいることを知った。
それと同時に、さらに怖くなった。
いつか、いつか、本当にこの白いアザから解放されたら、私はこの船に用はなくなる。
私はここにまだ居たいと思い、ベポ達はこのまま船に乗ってもいいと言ってくれるけれど、、、
そうするには、まだ私を縛る鎖がある。
この身に流れる血のことを話さなければならない。
そこで拒絶されるかも知れない。
病はローから医者だったから受け入れられたのかも知れない。
でも、もしあの男に私が生きていると知れたら、この船はずっと狙われ続けることになる。
そうなったら、きっと重荷になる。いつか捨てられる。
私はそれがどうしようもなく怖いんだ。
私はその思いを隠すように、静かに席を立った。